てんかんを聴く ぽつラジオ
てんかんと心因性非てんかん性発作(PNES)編
「おかえり」
(2022年10月号より)
当事者同士の交流
和島 うるうるさんと息子さまは当事者同士の対話を積み重ねていらっしゃる関係だと思います。ほかの当事者の方々との交流についてもお聞かせいただけますか?
うるうる そうですね…。私にとって最初の当事者会は入院の共同生活だったのかなって思います。その後、2000年ごろは、てんかんと発達障害を両方持っている仲間はいないかと思い、息子と一緒にホームページを立ち上げ、BBSを開設しました。で、そこに集まってくる親御さんやお子さんと、リアルなオフ会をしたり。また、息子の発達障害をいろいろ調べるうちに、「私も当てはまるんじゃないの?」と思って検査を受けたら、「ADHDですね」って言われまして。それでまあ堂々と「当事者です」と名乗って、ホームページでも「発達障害とてんかんの親子です」ということで活動しました。
社会的に「生きにくいな」って思ってる軽度の自閉症の方は、どういうお医者さんに行ったらいいのかも分からないし、最初になんて切り出したらいいかとか、全然分からないことが多いんですよね。
和島 生きづらさの原因がてんかんにあると思っていたけれど、じつはそこに発達障害という要素も絡んでいる場合もあると思います。でも、てんかんを受け入れることができていないのに、発達障害を有している可能性についても考えるのは難しいかもしれませんね。
うるうる そうですね。ご本人だけでなく親御さんの中にも、そういうことを言われるのがイヤな方はいると思います。逆に、私のように「絶対に定型のお子さんとはちょっと違うので、何かあると思います」って言って、ドクターショッピングを繰り返して、診断に至った場合もありますが。
あといまは、発達障害という言葉ばかりが広がって、「困った奴が発達障害」とか、悪い部分ばっかり拡散されて…。それはちょっと違うなって思っていて。「あなた、迷惑な人だから発達障害じゃないの?」ではないんですよね。「てんかんと発達障害の両方持ってる人は意外といっぱいいるよ」って話して、「そんな人、どこにいるんですか?」って訊かれると、「うちだけで2人いるよ」って。
和島 そう言っていただけると受け入れやすいですね。私も当事者との交流を通して学ぶことがありました。逆に、お互いの違いを受け入れられずに対立することもありました。当事者会には良い部分、悪い部分があると思いますが、うるうるさんはどう思われますか?
うるうる いまはSNSの社会になってきて、(当事者同士の)トラブルの内容も変わってきたように思うんですよね。衝突する人はコミュニケーションの問題を抱えているんじゃないかなあ。いつも同じ人が同じようなことを起こすので。
たとえば、(治療が良好な方に対して)「いい治療を受けられて良かったね」「発作が落ち着いてきて良かったね」って言う方がほとんどだと思うんですけど、発作コントロールがされてない方にとっては妬みの原因になって、「その医者を紹介するべきだ!」って言い始めたりとか。
私の場合、迷惑をかけられそうだなって思ったら、ブロックするとか出禁にします。だけど、そのときは「あなたのことは嫌いではないです」とお伝えします。本人には自覚がないので、何が起きたかを具体的にお伝えした上で、「また落ち着いたらお会いしましょう」みたいな言葉を必ず添えるんですけれど。
私と息子はてんかんっていう共通のカテゴリーがあるんですけれど、発作のタイプとか、それ以外の症状とか、性格も全然違います。結局、細かいカテゴリ分けをするよりも、「一緒に居場所の共有ができるか」、「この人と一緒にいて心地良いか」。それが大事じゃないかなと思っています。
和島 ありがとうございます。ところでいまは、親子で同じ主治医のもとに通われているんですか?
うるうる はい。いま、その主治医は京都を離れて、別の地域で先生をしています。私たちも引っ越しを繰り返して、全然違う地域にいます。なので、最初は最寄りのお医者さんを探したんですね。でも、てんかんのお医者さんに行くと発達障害の理解がされず、発達障害のお医者さんに行くと、「てんかんは分かりません」っていう感じだったんですね。で、遠距離なんですけれども、新幹線に乗って、お泊りで、年に1回、いまの先生の所に通うようになりました。息子が生まれる前から経緯をご存知の先生ですし、「仲のいい親戚のおじちゃんに会いに行く」みたいな(笑)。先生のお顔を見て、もう説明がいらないじゃないですか、いままでのこととか。なので、そこを省いて「お久しぶりです」みたいなお話をしているだけで、それがいちばんのお薬だよねっていうことをよく言うんですよね。
和島 なるほど。
それでは最後にぽつラジオでぽつってみた感想をお願いします。
うるうる 今日はすごく楽しかったです。普段ツイッターで「うるうる」というアカウント名で、主にてんかんを中心に、ときどき発達障害とか、「過去にこんなことがあったよ」みたいなことを適当につぶやいているんですけれども、そこを和島さんに見つかってしまったという(笑)。お声掛けいただいて、ありがたく思っています。今日は、私以外の人の話も登場するということで、主治医と息子と主人に許可をとり、みなさんから快諾いただいています。
「こういう時代があって、いまはこんな感じの私たちがいるよ」、「それを支えてくれた、いろんな人たちもいたんだよ」ということを、ぽつぽつとお話しできればいいなあと思いました。
和島 ありがとうございます。以上、ぽつラジオでした。また次回もお聴きください。
文字起こし:うるうるさん
構成:和島香太郎
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